松戸の都市整備の原点

 すぐやる課太平記 3 新考課法---- “自己評定”について  68頁
産業能率短大出版部 昭和46年6月30日 初版発行

  ポケットマネーで海外派遣  対談者 松本市長/川崎人事課長/扇谷正造

川崎



受けたい研修の中で、たまたま○○○○都市計画課長が、外国の都市計画状況を視察したいという意向出してきた。今までのうちの条例ですと、外国出張は不可能だったんです。ところが市長さんは、「よし、出してやろう」とポケットマネーでその希望をかなえた。
扇谷 ポケットマネーで?
松本





ええ、それと同時に市条例も改正しました。とにかく、どういう形にせよ、お役所は前例を作ればいい。その最初はミゼニを切ってやらなければダメだと思った。そこで、都市計画課長を呼んだ。
都市の視察では漠然としているが・・・」と聞くと「市の駐車場の研究会を主宰しております。これからのモータリゼーションと、取り組みたい」という。よし、それなら、ということで、踏み切ったわけです。
扇谷 どことどこへ行ったんですか。
川崎

欧米でした。駐車場協会研究視察コースに乗りまして、45日間、世界各国を廻ってきたんです。
扇谷 ポケットマネーは、いくらくらいかかったんです。
松本



はじめ80万円くらいだったんですが、一流の人と行ったんで、えらい金がかかっちゃって(笑)。結局120万円ぐらいでしたかな。しかし、帰国後、いいレポートを出してくれたし、本人は松戸に理想的な駐車場を作るといって、用地買収に毎日かけずり回っているので、そのうち、実を結ぶでしょう。
扇谷 月給をもらわないで、そのうえポケットマネーを出すんじゃたいへんですな。
川崎

このケースで松戸市は、それが適正な意見であれば、市長さんは必ずかなえてくれるという信頼感を、職員はその時点において持ったと思いますね
これこそが松本氏の市長としての目的であった。
扇谷 すると、松戸では、これからは職員の海外派遣は可能になったわけですね。
川崎



職員の海外派遣費が予算に計上され、その後は毎年2、3人の職員が派遣されることになりましたが、欧米を広く浅く視察するか、1国を徹底的に視察するか、その場合、ヨーロッパかアメリカかと、今市長ともども視察市の選定をしているところです。
(注11)



○○氏のレポートは、短いが、鋭く要領を得ている。とくにアメリカにおける空中権の開発および、パーキング・オーソリティの報告は注目されてよい。この中、サンフランシスコのパーキング・オーソリティについて、以下報告書より抜き書きする。 (「すぐやる課太平記 3 新考課法 ---- “自己評定”について」)
  オーソリティとは
その部門に関して、行政的な権限を持った市の企業組織である。
ダウン・タウンの商店街は駐車場がないため困ったので市はその対策をねった結果、1950年にパーキング・オーソリティをつくった。
オーソリティとは路外駐車場用地確保のための買収・建設および私企業との協同を目的としたものでそれらに対し権限をもっている。
ただし、この場合でもその運営はすべて民間とした。
  事業方法
1950年五百万ドルの市債を発行し用地を取得した。



建設費とこれ以上ダウン・タウンについて金をかけることについて市民の賛成を得ることがむずかしいので、駐車場毎に利益を考えない「協会」を設立した。
「協会」はある程度の利益を目標として公債を発行した


経営は総て民間に任せたが、当初発行した五百万ドルの市債は、1976年までの15年間に回収した


また、もう一つの事業である路上パーキングメーターよりの収入についてはこれを蓄積してネーバーフッドパーク(ママ)(住宅地区駐車場)をつくっている。




オーソリティは、ありとあらゆる機会をとらえて駐車場をつくるよう協力している。
たとえば公共建築物や公営アパートの下に一般の駐車場をつくるようにしている。

また、このレポートはつぎのような細かいことにもふれている、

「アメリカでいちばん大きい駐車場需要は“ワーク”(通勤)であり、ショッピング・ビジネスのウェートは少ない。また、ドライバーが自動車を降りてから、目的地まで歩く距離は60〜240メートルまでで、人口1万人の都市では60メートル、10万人くらいは120メートル、100万人くらいは240メートルである。」
写真は「すぐやる課太平記」より
以上 「すぐやる課太平記 3 新考課法 ---- “自己評定”について」  68頁より
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・・・それが適正な意見であれば、市長さんは必ずかなえてくれるという信頼感を、職員にいだかせる・・・この松本氏の市長就任時の目的としての海外視察制度は、職員の信頼感獲得には功を奏した。
しかし、視察のチャンスを得た職員は、その後おそらくは過度に持ってしまった自信からか、松本市長死去後、宮間市長の下、農地あぜ道づくり感覚で次々と町をいじり、駅周辺の都市構造を修正不可能なほどに破壊し、そのつけを次代の市民に残した。
官僚はその職に与えられた権限と共に、職務内の責任を負わなければならないはずである。
負の遺産 (本町ジャーナル)
市の駐車場の研究会