平成19年1月15日
松戸市長
川井敏久様
協働のまちづくり条例(案)に関する公開質問書

松戸市パートナーシップ条例案策定委員会元委員
渡辺 俊一(元委員長)
木下 勇(元副委員長)
大塚 詐保
宮坂 いち子
高橋 盛男
喜久村 徳雄
染谷 弘之
元ワーキンググループ委員
浅井ゆき(検討委員会元委員)
内田奈芳美
後藤 純
パートナーシップ検討委員会元委員
塩崎 俊一
中岡 丈恵
吉原 久喜
藤田 謙次郎
安藤 五郎

このたび、パブリックコメントが実施されている「協働のまちづくり条例(案)」(以下、事務局案)について、表記の公開質問書を提出します。

この「協働のまちづくり条例(案)」は、「松戸市パートナーシップ条例案策定委員会」(平成16年10月〜平成18年2月)が平成18年2月15目付で答申した「松戸市パートナーシップ条例案(基本的考え方等を含む)」(以下、答申案)の答申を受けたものと説明されていますが、答申案と大きくかけ離れた内容であり、その条例案策定の経緯と手続きに以下のような問題があります。
これらについて、公開のもとに責任をもって説明を果たすこと要求します。

なお、この条例案の策定においては、パートナーシップ条例案策定委員会審議の前段となるパートナーシップ検討委員会(平成14年6月〜平成15年10月)の答申と深く関係することから、同委員会元委員の許諾を受け、連名で本書を提出することとしました。
以下の質問に対し、2007年1月25日までに回答してください。




なお、こちらの要望で1月13日午後7時より9時まで本庁舎2階会議室にて担当事務局より説明の機会(説明会というには広報不十分で会議室の収容人数からも不適当)を設けていただきましたが、納得のいく説明がなされませんでした。具体的に根拠を示しながら回答していただくことを切にお願いします。

質問
T. なぜ条例案の名称が変更されたのか。
事務局は、パブリックコメント募集資料の「最終答申との比較表」において、本条例の趣旨が「協働の推進」であることから「条例の内容を的確に表す名称として『協働のまちづくり条例』としました」と説明しています。
しかし、「松戸市パートナーシップ条例案策定委員会設置要綱」の第1条では、委員会の使命を次のように記載しています。


この要綱は、新しい時代の市民と行政のパートナーシップの構築に向けて、その理念及びその理念を実現するための制度や仕組みを保障する、松戸市パートナーシップ条例(以下「条例」という。)について検討し、その条例案を提言する、松戸市パートナーシップ条例案策定委員会(以下「委員会」という。)の組織、運営等に関し必要な事項を定めるものとする。


また、パートナーシップ検討委員会の設置時に事務局が作成した資料(※)には「松戸市パートナーシップ条例策定委員会」の検討テーマとして以下のような記載があります。

新しい時代のパートナーシップを構築するための制度や仕組みをつくるため、市民と行政が共に参画して条例・仕組みづくりを行う。


これらからも明らかなように、本条例の目的は構想された当初から「市民活動の活性化とパートナーシップの構築」にあり、市長もこれを公約としてこられました。
しかし、両委員会での検討のなかで「協働のまちづくり」の用語が肯定的に議論されたことはありませんでした。とくに策定委員会においては、この用語は本条例の本来の意図である「パートナーシップの構築」を矮小化するおそれがあることから条文案にも用いませんでした。

こうした経緯がありながら、なぜ条例案名称が「協働のまちづくり条例」に変更されたのでしょう。これは、答申を逸脱しているばかりではなく、行政自らが作成した設置要綱からも逸脱し、さらには「パートナーシップ」という言葉を用いてその推進をうたった市長の公約にも反するものだと考えます。
条例案の名称が変更された経緯と理由の詳細を説明してください。

U. 答申案の取り扱いについて
1. 答申案はどう「尊重」されたのか
平成18年2月6日、市長と策定委員との会談の際、市長は「本答申を最大限尊重する」と明言されました。しかし、前述したように事務局案は答申案と大きくかけ離れた内容となっています。

委員会の答申のすべてが施策に反映されるものでないことは承知していますが、これほどまでにかけ離れてしまうと、市長の諮問機関である委員会の答申が「単なる参考意見」程度のものに賠められてしまいます。
委員会の答申の取り扱われ方が、これで適正なのかどうか、市長の見解をお教えください。また、「適正である」とする場合、答申案のうち採用されなかった内容についてその理由と検討の経緯を説明してください。

2. 庁内調整や議員への説明はどのように行われたか 
前項に関連して、事務局が庁内調整や説明に十分な努力をしてきたかどうかは大いに疑問が残ります。策定委員会の開催期間中も、庁内調整をどのように進めているか再三、報告を求めたにもかかわらず具体的な説明はありませんでした。
策定委員会の開催期間中を含め、これまでに庁内調整や議会対応などについて、事務局がどのように取り組んできたか、その作業記録(目時と参加者、議事要旨など)を提示してください。

3. 答申に付した要望が履行されていないのはなぜか 
策定委員会は、答申において以下の2項を要望として付記しました。


第1

本答申を中間答申にもまして、「広報まつど」等において、市民へ幅広く周知徹底をお願いしたい。
第2

今後条例化の過程において、本条例の趣旨に重大な変更がある場合には、しかるべく説明会等、適切な措置を講じていただきたい。


この2項は、事務局も了解していましたが、いずれも履行されていません。条例案の変更については、パブリックコメントの募集開始まで知らされませんでしたし、説明会も当方からの申し入れにより、ようやく開かれるにいたった次第です。
答申に付した策定委員会の要望が、このようなかたちで無視されてよいものなのか、市長の見解をお示しください。あわせて前2項が履行されなかった理由について説明してください。

V. 市民への周知と意見収集の方法について
1. 答申案および事務局案の市民への周知にどのような努力がなされたか 
本条例は、市民活動の活性化と深くかかわり、ひいては市民生活にも大きく影響します。その本意からして「市民が使う条例」ともいえます。そのため、策定委員会は「答申案の市民への周知」をとくに強く要望しました。しかし、事務局がその周知に努めたという印象はありません。広報2006年3月15日号に答申が出されたという簡単な紹介であり、「市民へ幅広く周知徹底」とは言いがたい(かつてパートナーシップ検討委員会時の答申とは大きく後退。)。答申にあわせた特別な要望であるので規定の手続きで済めばよいというものでもない。答申案(それと大幅な変更があったので事務局案も対象になる)の市民への周知についてどのよう努力されたのかを説明してください。
また、今後、事務局案に対する市民への説明や意見収集の機会をパブリックコメント以外に設けなくてよいか。条例案の内容から言っても一般市民への説明会を開くべきと考えるが、その意志がない場合は行わない理由を説明してください。

2. パブリックコメントの方法と時期は適正か
パブリックコメントの募集は「広報まつど」12月15日号で告知されました。しかし、条例案の内容は掲載されず、閲覧場所の記載のみです。しかも、募集期間は、年末年始の繁忙期をはさんでいます。これでどれだけの市民が、条例案について知ることができるでしょう。

従前、パートナーシップのあり方と構築の方針を提言したパートナーシップ検討委員会の答申(平成15年10月)は、「広報まつど」で大々的に紹介された経緯があります。それに比べて、今回の対応はあまりに消極的です。

周辺自治体では複数の方法で市民に周知の工夫をしています。それに比べて当市ではパブリックコメントを市民参加の説明に使っている割にはそれと矛盾する姿勢でもあります。このようなパブリックコメントの方法と時期が適正なものかどうか、市長の見解とその理由を求めます。

3. パブリックコメント募集文書の配布対象がなぜ限定されたのか
パブリックコメントの募集開始に合わせ、策定委員には関係文書が郵送されました。しかし、パートナーシップ検討委員会をはじめとして、この仕組みづくりにかかわってきた市民には送付されていません。

先に述べたように、策定委員会は公募市民58名からなるパートナーシップ委員会の提言を受けて、条例案づくりに取り組みました。また、策定委員会ではテーマごとに作業部会を設けて、外部の市民も多数加えて制度の検討を行いました。まつど市民活動サポートセンターが行った「平成16年 内閣府委託調査市民活動モデル調査」(平成17年3月報告書)においても、多くの市民が提言づくり(「パートナーシップを推進するための方策の提言」)に携わっています。

本条例は、いうまでもなくそうした市民の活動の成果と深く関係するものです。
パートナーシップを本意とするなら、これらかかわったすべての市民に同募集文書を送付して意見を求めるのが筋であり、礼儀であると考えます。
なぜ、同募集文書の配布が策定委員のみに限定されたのか、その理由を説明してください。
また、今後、改めて当該の市民に同文書を送り、意見を求める意向があるかどうか、理由も合わせて回答してください。

W. 事務局案の内容について
1. パートナーシップの定義をあえて歪曲させたのはなぜか
パブリックコメントにともなう事務局の資料では、「策定委員会では『パートナーシップ=協働』としていますが」と述べられていますが、策定委員会で「パートナーシップ」と「協働」を同義と見なしたことはありません。
また、事務局は「パートナーシップ=市民参加と協働の推進」とし、この条例の趣旨は「協働の推進」に限定するものとしています。

先にも述べたとおり、条例の趣旨を「協働の推進」に限定することは、そもそも策定委員会の設置目的に反します。また、事務局のいうパートナーシップの定義は、今日一般的にとらえられているパートナーシップの概念とも相違し、独自に解釈したものとしか思えません。

たとえば、県が策定している「千葉県パートナーシップマニュアル」においてパートナーシップは、行政、NPO、企業などが継続した協力や連携を軸に、社会サービスの担い手として機能する関係をいい、そのための環境づくりを行政の役割としています。

つまり、「協働」は「パートナーシップ構築」の一側面であり、同義ではありません。「パートナーシップ」を「協働」に置き換えることは、事務局の説明にあるような「文言の整理」にとどまるものではなく、今日的なパートナーシップの概念を著しく矮小化するものです。

前述のパートナーシップ検討委員会提言、内閣府委託調査報告書の提言でも、このような一面的なとらえ方でパートナーシップの構築が考えられてはいません。
おそらく、事務局は何らかの事情により「あえて」パートナーシップの定義を歪曲したものと思われますが、その理由を説明してください。
また、このようにパートナーシップの定義が歪曲されて市民に提示されていること、そして事務局案が今日一般的にとらえられているパートナーシップの概念を逸脱した条例案になっていることについて、パートナーシップの推進者たる市長の見解をお聞かせください。

2.

規則、要綱等での対処を含め事務局案を提示する」という約束はなぜ反故にされたのか
答申案の第11条(パートナーシップ市民会議及び市民会議運営委員会)は、事務局案では削除され、その理由が「比較表」で以下のように述べられています。


民間の組織である市民会議運営委員会、その組織が開催する市民会議を市の制定する条例で規定することには無理があると判断しました


この条項は、事務局と策定委員会で最大の争点となったところですが、法的な側面等も含め、その検討経緯が何も説明されていません。策定委員会の作業部会において、事業として市民会議を開催することは可能との判断を事務局は示しています。

しかし、今回の事務局案では「比較表」の第10条の「相違点と考え方」で「協議会に市民等の意見が反映できるよう市民フォーラムの開催や意見募集などを随時、実施するものとします」と述べられており、「市民会議」を単なる意見収集の場に壊小化しています。

パートナーシップの構築においても協働の推進においても、市民等が継続的に協力、連携し、課題解決の推進力となる場が保障されなければこのような条例は機能しないとの考えから策定委員会は第11条を答申案に盛り込みました。これは、パートナーシップ検討委員会提言、内閣府委託調査報告書の提言でも、非常に重視されていた内容です。

これに対し、事務局は答申案の第11条が「条例事項になじまない」としながらも「条項の解説部分に明記する」とし、この解説部分は「条項と同等に遵守されるもの」と説明していました。しかし、今回の事務局案では、その解説部分が上記のように矮小化され、すり替えられています。

また、「条項として盛り込めないものでも、規則や要綱で措置できるものは、それで対応する」という事務局の説明に対し、策定委員会は事務局案の策定とともに、必要な規則や要綱もそろえて提示することを申し合わせました。
しかし、今回のパブリックコメントにおける事務局案では、この規則、要綱が添付されていません。

このように意図的に策定委員会との申し合わせを反故にしたのは、どういう事情によるものでしょうか。説明を求めます。
市長は、このように市職が委員会での申し合わせを反故にしたことについて、どのようにお考えか、見解を示してください。

3. 前文や文体への工夫を理由もなく変更したのはなぜか
策定委員会では作業部会を設けて前文に松戸らしい特徴を入れ込むことに労苦を費やした。そして条例案全体の文体も市民になじみやすいように「です、ます」調にした。それはこの条例案が市民に身近なものであるからである。このような工夫を行っている過程を事務局は委員会に同席して、知りながらも、問題あればその場で言えたものを、また自らの事務局提案(17年10月3日)では「です、ます」調で示したにもかかわらず答申後になじみがないなどの根拠のない理由で消してしまった。松戸らしさや市民に身近な条例にしようとする工夫を無に帰すのは、よほど重大な根拠があると思われるがその根拠を説明してください。

X. 委員会の設置と運営について

市長は「パートナーシップの構築と推進」を長く公約に掲げ、尽力されてきました。
とくにパートナーシップ検討委員会の設置以降は、その構想が具体化するものと、市民も大きな期待を抱きました。

しかし、これを担当した事務局および関係市職は、市長の意向に沿って努力したとは思えません。たとえば、当初はパートナーシップ検討委員会の任期終了後、速やかに条例策定委員会を設置することになっていましたが、策定委員会が設置されたのは1年後であり、その間、事務局は委員会設置の準備をほとんどしていませんでした。

さらに、策定委員会の答申を受けて出てきた今回の事務局案は、策定委員会の開催中に事務局が提示したものとほとんど変わらず、むしろ一段と後退した内容になっています。事務局および関係市職は、策定委員会の答申を形だけのものとして取り扱ったという観を否めません。
このことは、市長の諮問機関たる委員会の役割を軽視するものであり、他の委員会の運営(事務局と委員会の信頼関係)に影響するとも考えられ、誠に遺憾であります。

市長は、この条例は松戸市政のターニングポイントになる」といわれました。それほどに重要な方針であったはずです。しかし、これではパートナーシップ構築の基盤となる市民と行政の信頼関係すら揺らぎます。

そもそも今回の問題の本質は、本来「パートナーシップの理念と手法によって策定されるべき「パートナーシップ条例案が、市側に関するかぎり、「パートナーシップの理念と手法に逆行した、旧来型の理念と手法で取り扱われたことにあり、その結果、市側条例案に記している「市民・・及び市・・の信頼関係」(第2条)を自ら破壊している点にあると思われます。条例が制定されることが「1歩前進」だとしても、市民との信頼関係の破壊という「2歩後退」を伴っているのです。

市長が、この条例案の策定に対して、どのようなリーダーシップをとられたのかをお教えください。また、今回のパブリックコメントに提示された条例案が、市長の意向にかなったものであるのかどうか見解を示してください。