| 丸紅株式会社 秘書部 ○○○○ 様 文書の送付について 過日は私達の文書をお目に留めていただきましたことを感謝申し上げます。 今般、下記のとおり拙案とともに再度文書をお送り致しますのでご高配の程宜しくお願いいたします。
丸紅株式会社 取締役社長 辻 亨様
(1)商業地域だから可能な「地域連携」 今回の御社計画地は「店鋪、事務所等の利便の増進を図る地域」として規定される「商業地域」であり、基本的には住居のための地域ではありません。 このため、建築基準法第56条の2に規定さている「日影規制」も受けません。 今回の計画地も、現状では近隣に高層な建物が存在しないため良好な日照が得られますが、近隣地にも当然、御社建物と同等またはそれ以上の達築物の出現も十分予想されます。 建設に際し、それまでの日照が著しく阻害されるととなりますが、「商業地域」ゆえ何の対策も出来ないのは当然のことです。御社側も建設にあたり「商業地域」である事と、その意味する事は十分ご説明されることと思いますが、建築基準法・都市計画法を熟知していない住民には理解が困難なため、なんらかの代替策を講じつつ、さらには地区町会などの介在を通じて理解を求める必要性はご承知のとおりです。 このような地区のマンションが売り物とすべきは、住居系地域のような日照・居住環境よりも、むしろ中心商業地区ならではの買物や交通等の利便性であり、静かな環境よりも都会ならではの「賑わい」が身近にある点だと思われます。 そのためにも、当該地域が将来に向けて松戸の真の商業中心地であり続けることが重要です。 このような再開発事業には地域との連携が肝心である事は言うまでもありません。 幸いなことに、当計画地は旧水戸街道に隣接し江戸時代の宿場町として繁栄した頃からの古い商業地域ですので、民間活力による地域活性化の重要性や、地域ぐるみの経済振興に理解を示す商店主も少なくないため、御社からのご提案如何によっては共存共栄に向けて手を携える事が十分可能な環境にあります。 以下に私たちが提案する、商業施設・公共施設等と一体のマンションがここに立地するならば、都市型生活を享有できるマンションとして、商業地域としての住環境の不足を満たすに十分な付加価値を兼ね備えた、真の都市型マンションとしての高い評価が得られるものと確信いたします。 (2)松戸の潜在能力、必須な「商業拠点」 現在のところ、松戸駅周辺地区の商業環境は市内郊外地域への大型店進出などでダメージを受けており、既存大型店の縮小・撤退を何としてもくい止めなければなりません。 大型店撤退が現実となった場合には、買物の利便性を評価して御社マンションを購入した顧客にも大きな影響を及ぼし、御社の住宅販売政策並びに「ファミール」ブランドに対する信頼を失墜させかねない危惧を感じます。 ところが、松戸駅周辺商業地区の地盤沈下の要因として考えられるのは、地方中心都市のような自動車利用による交通利便性の欠如ではなく、単に商圏人口に比べて商業集積が不足しているだけであると思われます。 実際に、後背人口、駅乗降数、競合商業拠点などが千葉県北西部と類似する首都圏の他の地域と比較しても、松戸駅周辺には潜在的な顧客吸引力が十分期待できる条件を備えています。 その証拠として、松戸まつり等の駅前イベントにおける飛躍的な集客数の増大が挙げられます。 松戸市内は郊外地域に大型店が多く立地しますが、郊外店はすべて日常品主体のスーパー等であるため、日常生活用品の買物等の目的では松戸駅周辺に客足が向くものとは期待できません。 しかし、これら郊外店はいわゆる「お使い物」「ちょっとイイもの」という需要には店舗構成や品揃えで対応出来るものではないので、いわゆる「ハレ」の日の買物を楽しむ施設とは言えません。 いま、松戸駅周辺商業地域が人々に提供すべきは「ハレ」の日にふさわしい賑わいとその中心としての風格であり、このためにもさらに数箇所の拠点施設が必要です。 商業地域の中心が確たるものになれば周囲の小規模出店も促進され、その後はそれらの集積効果で街が自ら発展を続ける例として首都圏では、吉祥寺、柏、町田などがあり、いずれも後背人口等の条件ではむしろ松戸よりも小規模でさえあります。 (3)今だから可能な「仕切りなおし」 松戸駅周辺には過去に何度も拠点施設の計画がありました。 ところが当時の地価高騰の煽りを受けて、地権者ならびに近隣住民の同意が得られずことごとく計画だおれに終わってしまいました。 しかし、現在では、経済状況・地権者・近隣住民の理解、そのいずれを見ても過去の計画時とは一変しており、松戸駅前に残された最後で最大の空間が有効に活用されることは近隣住民のみならず常磐線沿線住民が等しく切望するものでもあるため、今はまさに「仕切りなおし」の好機到来であると考えます。 幸い、今回の私たちの提案に関連する地権者は、ほんの数名であり、しかも所有地全部を共同化する必要がある方は1〜2名に限られます。 残りの方々は、現在(高度には)利用していない部分のみの共同化を提案するものであり、相手方にとって非常に有利な補償条件が提示出来るものと思われます。 当然、これらの交渉には行政や地元町会も積極的に関与すべきと考えます。 また、拠点施設のテナント開発等も御社だけにお任せするのではなく、中心市街地の活性化として行政もそれなりの役割を果たすべきであると考えますので、私達は地域住民の利益を代表する立場から行政への積極的な申し入れを行いたいと考えております。 (3)計画地の運用に関する提案 以下に、御社計画地の効果的な運用に向けて、地域住民の立場から松戸駅前の特色等をふまえた上での具体的な意見を述べさせていただきます。 A.敷地の整形化によるメリット 今回計画地の敷地を地権者合意のもと整形化する事で、総合設計などの制度も適用可能になると思われます。 法律改正によって、現行の建築審査会を経ての許可制から、逮築確認に組み込まれる予定と把握しております。 この際には公開空地の設置が条件となりますが、現設計でも十分なセットバックがあることから適用は容易と思われます。 現設計に見られる1階共用部分の緩衝帯としての利用とは異なると思われますが、中心市街地の建築物としては街といかに一体化するかが重要であると考えますので、正式に「公開空地」と定めて諸法令の適用を受けることが適切です。 これは1階部分の利用形態変更で十分に対応可能と思われます。 なお、現在の店舗部分は、指導要綱を受け義務的に設けたものとお見受けしますが、もし、私達の提案が実現すれば、需要度も高く近隣でも最良な立地の店鋪の一つになるものと思われます。 なお、総合設計を適用した際の上乗せは一般的には200%程度と思われますが、この上乗せで西側部分だけでも相当の戸数が確保可能です。 また、併設店舗等を含んだ高付加価値の真の都市型マンションとしての評価が得られるならば、分譲価格をさら高額に設定することも可能となりますので、この部分だけを考慮しても御社の利潤確保には好条件が得られるものと考えます。 B.敷地共同化によるメリット 私達は、敷地の共同化による再開発手法の適用についても検討しております。 設計費の補助や一部建築費にも補助が可能であると把握しております。 この際、御社側にはこれまでの設計費に一部損失を生ずるものですが、補助の規模はその損失相応あるいはそれ以上のものと推測いたします。 C.公共施設一体化のメリット わが松戸市では生涯学習センター建設を総合計画の前期基本計画事業に掲げていますが、住民ニーズは大きいものの、用地取得や資金確保がネックとなり建設の目途が立たない状況にあります。 ここでPFIによる民間側の整備が可能であれば行政側も大きな予算措置を講ずることなく、また御社側にも安定した長期の賃貸料収入が期待でき、双方にメリットを及ぼすものと考えます。 松戸市の場合は、すでに民間側整備による施設建設の例がありますので、実施にあたり行政側の抵抗はないともの思われます。 なお、今後の用地交渉に際しましても、公益目的を前提に行政側担当者ならびに近隣町会代表が介在することで条件がより好ましい方向に導かれるであろう状況は御社側もご経験のことと思います。 D.シティホテルの可能性 私達のプランを作成するにあたり、大規模開発プロジェクトに多く参画された専門家の方々にも相談しましたところ、現在の経済状況等を考慮すればシティホテルの招致は難しいとの助言を頂いております。 しかし、千葉県内で人口規模の大きい(30万人以上)都市でシティホテルがないのは松戸だけであり、はるかに小規模な15万人クラスの習志野、佐倉、八千代市にもシティホテルは存在します。 松戸市では、旧来の住民よりも全国各地から転入した住民の占める割合が高く、現在の住宅事情では郷里の親戚を招くにも宿泊に苦慮するのが実情です。 また、市内には首都圏有数の劇場等文化施設や医療施設などを有しながらも、そのゲスト(主にエグゼクティブ級)に対する宿泊需要は都内や湾岸地区に依存している状況にあります。 さらには、人口規模から生ずる各種団体のパーティーや大規模な結婚式等の需要に対応できる大きな宴会場も交通至便な立地には存在せず、やむなく都市公園内の公共集会施設を借用している状況です。 かつて松戸市では、現在の計画地周辺等を眼中に置き、シティホテル誘致を行うための条例も制定した経緯があります。 市内への立地に対する各種の優遇措置は現在も有効で、客室僅か60室で適用可能です。 松戸市は将来に向けて江戸川舟運を積極的に推進していますが、これが実現すれば常磐線と湾岸エリアへの水上交通の唯一の結節点という地の利を生かし、べイエリアへのゲートシティとして観光中継点として将来の発展も期待できます。このようなことから、シティホテルの誘致に対して地域住民としましてはむしろ前向きに期待感を示しております。 (3)新たな開発事業者に対する住民の期待 当計画地は、現在まで20年もの永きに渡り前開発事業者の管理にありました。 その間、同事業者は松戸市内随所の大規模開発に携わりましたが、新松戸のマンション群や伊勢丹松戸店及び松戸ビル等の建設については地域住民として一定の評価をするものです。 今回の計画地が地価高騰期に「地上げ」の形で買収され、近隣住民が止む無く街を離れたことで町会の存立基盤が弱くなった点に関しては商業地域に居住する者として今更の抗議をするものではありません。 しかしながら、町会としてこれらの犠牲を払いつつも長らく再開発を待ち望んでいたこの土地に対して、おそらくは景気急変による不良資産処理の一環として事前に何の説明もなく転売された事実は、私達の前開発事業者に対する不信感を決定づける結果となり、誠に無念を感ずるものです。 昨今の経済状況が冷え切っているとはいえ、地域開発の可能性がすべて消えてしまったわけではないと思われます。 現に立地条件の良い地域では、この条件下でも再開発に成功している例が見受けられます。 今回の私達の提案は、前開発事業者が計画した時点とは異なり、開発規模はその半分程度に留まります。 さらには、この提案は松戸市内を含め近隣拠点とも競合しないような施設を伴う提案であり、長期的には十分採算が見込めるの開発事業ではないかと思われます。 確かに、シティホテルに関しては柏市内にかなり立地していますが、常磐線の上り方面を見れば都心までこのような施設は存在しません。行政区画は違うものの、江戸川を挟んで旧来の人的交流が盛んである東京都葛飾区や埼玉県三郷市の住民からの需要も期待できるはずです。 あえて失礼をお許しいただくならば、前開発事業者(三菱地所)が松戸市とともに残したものは半端なものばかりであると申し上げざるを得ません。 新松戸も最終的にランドマークとなる拠点施設を建設する予定が頓挫してしまいました。 計画地隣接の松戸ビルに至ってもテナント計画が不十分であり、事務所用の建築物に対し無理に宴会場を設けたため、当事者たるホテル事業者のご苦労には相当のものがあります。 これらを踏まえた上で、私達近隣住民は前開発事業者には名誉挽回たる立派な開発計画を期待しておりましたが、今回突然の撤退を迎えることとなり、私達の落胆は十分にお察し頂けることと思います。 かくして前開発事業者が逃げ出すような形で見切りをつけた土地ではありますが、それはこの街の潜在的な可能性を否定するものではなく、あくまでも前事業者内部の経営的理由によるものと判断いたします。 松戸市内においては新松戸その他のマンション建設等で手腕を発揮された御社にとりまして、今回地元住民ならびに行政側と一致協力のもと真に住民の期待に応える建設事業を行われたならば、その功績は実に大きいものがあり、首都圏のみならず全国的にも、近隣諸国にも、住民協調型の現実的開発手法として御社の名声を定着せしめ、過去の風評を一掃するに有り余るものと確信いたします。 以上、拙案ではございますが、「ファミール松戸駅前(仮称)」をより一層価値の高いものにすることで御社ならびに私達が将来に向けて良きパートナーであり続ける事を切望するものです。 |
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